本症例は52歳の男性で左下第1大臼歯に装着された銀歯の周囲に違和感を訴え来院されました。レントゲン検査の結果銀歯の辺縁に不適合が認められたため再治療を計画しましたが患者に対しては銀歯を外すリスクについての詳細な説明が行われました。本症例における銀歯を外すリスクの最大懸念事項は過去の治療で既に歯質が大幅に失われており銀歯を外す際に残された薄い壁が崩壊する可能性でした。実際に処置を開始すると銀歯を外すリスクが現実のものとなり金属を除去した直後に遠心側の歯壁に微細なクラック(亀裂)が確認されました。これは長年の咀嚼圧によって銀歯が楔のような役割を果たし内部にストレスを蓄積させていた結果と考えられます。銀歯を外すリスクを最小化するためにマイクロスコープ下での慎重な除去を試みましたが内部には広範囲な軟化象牙質が存在しておりこれを除去することで神経までの距離が1ミリ以下となりました。銀歯を外すリスクとしての抜髄(神経を取ること)の可能性が非常に高まりましたがMTAセメントを用いた直接覆髄処置を行うことで神経を保存する選択をしました。この症例が示す通り銀歯を外すリスクは単に古いものを取り替えるという作業に留まらず隠れていた構造的欠陥や進行した病変を露呈させる行為でもあります。銀歯を外すリスクを予見し事前のシミュレーションを行っていたため抜歯という最悪の事態は回避できましたが術後の冷水痛は3週間持続しました。患者は銀歯を外すリスクを事前に把握していたためこの経過に対しても冷静に対応されました。銀歯を外すリスクの中には処置後の咬合変化も含まれます。長年慣れ親しんだ銀歯の形状が変わることで顎関節に違和感を覚えるケースもあり本症例でも緻密な咬合調整に数回の来院を要しました。銀歯を外すリスクは個々の歯の状態によって千差万別であり画一的な治療方針では対応できない複雑さを持っています。臨床家は銀歯を外すリスクという不確定要素に対して常に最悪のシナリオを想定し準備しておくことが求められます。最終的に患者は審美性と機能性の両方を回復されましたが銀歯を外すリスクがもたらした歯への侵襲は今後のメンテナンスにおいて重要な注視ポイントとなります。