長年口の中に存在している銀歯を外すという決断は審美性の向上や金属アレルギー対策として魅力的ですがそこには無視できない医学的なリスクが複数存在します。まず銀歯を外すリスクとして最も頻度が高いのが健康な歯の組織をさらに削り取らなければならないという物理的な問題です。銀歯はセメントで強固に接着されているためそれを除去する際には周囲の健全な歯質をどうしても数ミリ単位で削り落とす必要があり結果として歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。また銀歯を外すリスクには神経へのダメージも含まれます。銀歯の下で2次カリエスと呼ばれる虫歯が進行していた場合銀歯を除去する衝撃や摩擦熱が歯の深部にある神経に伝わり治療後に激しい痛みや知覚過敏を引き起こすことがあります。最悪の場合は神経を除去する根管治療が必要となり歯の強度が著しく低下する事態を招きかねません。さらに銀歯を外すリスクとして金属アレルギーの症状が一時的に悪化する現象も報告されています。銀歯を削り取る際には微細な金属粒子が飛散しそれを吸い込んだり飲み込んだりすることで全身の皮膚炎や掌蹠膿疱症などの症状が強く出る可能性があるためラバーダム防湿などの高度な防護措置が求められます。銀歯を外すリスクを検討する上では除去した後にどのような材料を充填するかも重要です。セラミックやジルコニアといった新しい材料は銀歯よりも厚みが必要な場合が多くさらに歯を削る量が増える傾向にあります。また古い銀歯を外した際に歯の根に亀裂が見つかることもありその場合は抜歯という過酷な選択を迫られることもあります。10年あるいは20年という長期間経過した銀歯は既に歯の一部と化していることが多くそれを無理に剥がす行為は生体にとって大きな侵襲となります。銀歯を外すリスクを最小限に抑えるためには精密なレントゲン診断やマイクロスコープを用いた繊細な操作が不可欠であり安易な審美目的の交換には慎重な判断が求められます。患者としては銀歯を外すリスクと得られるメリットを天秤にかけ主治医と徹底的に話し合うことが後悔しない歯科治療への第一歩となります。一度削った歯は二度と元に戻らないという冷酷な事実を忘れてはなりません。