胃の痛みを訴えて病院を探していると、「消化器内科」や「胃腸科(胃腸内科)」といった、似ているようで少し違う診療科名を目にすることがあります。どちらも胃のトラブルを診てくれそうですが、何か違いはあるのでしょうか。基本的には、どちらを受診しても、胃の痛みに関する専門的な診察と治療を受けることができます。しかし、その名称が示す専門領域の範囲には、若干の違いがあります。まず、「消化器内科」は、食べ物が口から入って消化・吸収され、排出されるまでの一連の流れに関わる、全ての「消化器」を専門とする診療科です。具体的には、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸といった「消化管」だけでなく、消化を助ける胆汁や膵液を分泌する「肝臓、胆のう、膵臓」も、その診療範囲に含まれます。つまり、胃炎や胃潰瘍はもちろんのこと、逆流性食道炎、胆石症、膵炎、肝炎、さらには食道がん、胃がん、大腸がんといった、広範囲にわたる消化器系疾患のエキスパートなのです。腹部の痛みや不快感に関して、最も包括的で専門的な診断を下せるのが消化器内科と言えるでしょう。一方、「胃腸科」または「胃腸内科」という名称は、消化器内科の中でも、特に「胃」と「腸」の病気に診療の重点を置いていることを、患者さんに対して分かりやすく示すために標榜されていることが多いです。クリニックの医師が、特に胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)や大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)に精通している、あるいは、胃炎や胃潰瘍、過敏性腸症候群(IBS)などの治療を得意としている場合によく使われます。したがって、胃の痛みで受診する場合、胃腸科は非常に的確な選択肢です。ただし、法律上の標榜科としては「消化器内科」という名称が正式であり、胃腸科もその一部と考えることができます。結論として、胃の痛みで受診する際には、どちらの科を選んでも、専門的な医療を受けることができます。重要なのは、診療科の名称の違いに神経質になることよりも、胃カメラなどの必要な検査設備が整っているか、そして、あなたが信頼できると感じる医師がいるかどうか、という点です。
「消化器内科」と「胃腸科」その違いと役割