奥の歯がない部分の痛みが、隣の歯や骨の中からではなく、歯茎そのものから来ているように感じられる場合、そこでは粘膜レベルでのトラブルが起きている可能性が考えられます。歯を失った後の歯茎は、皮膚と同じように見えますが、その下には顎の骨があり、食事のたびに様々な刺激にさらされるデリケートな場所です。まず、歯がない部分に部分入れ歯を入れている場合、その「入れ歯が合っていない」ことが痛みの最も一般的な原因です。入れ歯は、使い続けているうちに歯茎が痩せたり、人工の歯がすり減ったりして、徐々に適合が悪くなっていきます。合わなくなった入れ歯は、特定の場所に強く当たるようになり、粘膜を圧迫して傷つけ、痛みを伴う口内炎(義歯性口内炎)を引き起こします。特に、入れ歯を支えるためのバネ(クラスプ)がかかっている歯の周りの歯茎は、不適切な圧力がかかりやすく、痛みの原因となりがちです。また、入れ歯を入れていない場合でも、歯茎に痛みが生じることがあります。歯がない部分は、食べ物が直接当たりやすく、特に硬い食べ物や、魚の骨、おせんべいの破片などが刺さって傷がつき、そこから細菌が感染して炎症を起こすことがあります。歯がないと、食べ物のカスも溜まりやすくなるため、不衛生な状態が続くと、歯茎が腫れて痛む原因になります。さらに、抜歯後の治癒過程で、顎の骨の表面が滑らかにならず、尖った部分が残ってしまうことがあります。この尖った骨(骨隆起や骨棘)が、上の薄い歯茎を突き上げるように圧迫し、指で押したり、硬いものを噛んだりした時に、鋭い痛みとして感じられることがあります。これは、入れ歯を作る際にも問題となるため、必要であれば骨を滑らかにする簡単な手術を行うこともあります。その他、稀なケースとして、歯茎にできる良性または悪性の腫瘍(できもの)が痛みの原因となっている可能性もゼロではありません。口内炎のような症状が2週間以上治らない、しこりがある、といった場合は注意が必要です。