赤ちゃんが口にくわえるものとして、歯固めと並んでよく使われるのがおしゃぶりです。どちらも赤ちゃんを落ち着かせるための育児グッズとして広く知られていますが、実はその目的と役割は全く異なります。この二つの違いを正しく理解し、赤ちゃんの状況や発達段階に応じて適切に使い分けることが大切です。まず、おしゃぶりの主な目的は、赤ちゃんが生まれながらに持っている「吸う」という欲求を満たし、精神的な安らぎを与えることです。赤ちゃんはお母さんのおっぱいを吸うことで、空腹を満たすと同時に、安心感を得ます。おしゃぶりは、その代わりとなって、ぐずったり眠れなかったりする赤ちゃんを落ち着かせる効果があります。つまり、おしゃぶりは「吸啜(きゅうてつ)反射」という本能的な行動に応えるためのアイテムなのです。形状も、赤ちゃんの口にフィットし、吸い続けやすいように設計されています。一方、歯固めの主な目的は、歯が生え始める時期の歯茎のむず痒さを解消し、「噛む」という行為をサポートすることです。歯が生える際の不快感を、歯固めをガジガジと噛むことでマッサージし、和らげます。これは、吸うこととは異なる「咀嚼(そしゃく)」への第一歩であり、顎の筋肉を鍛え、離乳食に向けて噛む練習をするためのトレーニングにもなります。そのため、歯固めは赤ちゃんが自分で持ち、様々な角度から噛めるような、多様な形状や硬さで作られています。簡単にまとめると、「吸って心を落ち着かせるのがおしゃぶり」、「噛んで歯茎の不快感を和らげ、噛む練習をするのが歯固め」と覚えると分かりやすいでしょう。使い始める時期も異なり、おしゃぶりは新生児期から使えるのに対し、歯固めは歯が生え始める少し前の生後三ヶ月頃からが一般的です。もちろん、赤ちゃんによっては歯固めをおしゃぶりのようにちゅぱちゅぱと吸ったり、逆におしゃぶりを噛んでしまったりすることもありますが、それぞれの本来の役割を保護者が理解しておくことが、赤ちゃんの健やかな成長をサポートする上で重要になります。
歯固めとおしゃぶりは役割が違います