子供の成長を見守る中で、口の中の変化は親にとって気になるポイントの一つです。特に歯茎の色は、子供の健康状態を知るための大切な手がかりとなります。大人の健康な歯茎は薄いピンク色ですが、子供の歯茎は新陳代謝が活発なため、大人よりも少し赤みがかって見えるのが一般的です。しかし、普段と違う色の変化が見られた場合は、注意深く観察する必要があります。まず、歯が生え始める時期には、歯茎に特有の変化が見られます。歯が歯茎を突き破って出てくる際に、その部分が少し白っぽく見えたり、赤く腫れたりすることがあります。これは「萌出性歯肉炎」と呼ばれる一時的なもので、歯が生えきれば自然に治まることがほとんどです。また、歯が出てくる部分に青紫色の血豆のようなものができることがあります。これは「萌出嚢胞(ほうしゅつのうほう)」と呼ばれ、内部に血液が溜まったものです。見た目は驚きますが、多くは歯が生えるとともに自然に破れて消えていくため、過度な心配は不要です。しかし、注意が必要な色の変化もあります。歯茎全体が真っ赤に腫れあがり、たくさんの小さな口内炎ができて、子供が食事や水分を摂るのを嫌がる場合は、「ヘルペス性口内炎」の可能性があります。これはヘルペスウイルスの初感染によって起こり、高熱を伴うことも多いため、速やかに小児科や歯科を受診する必要があります。また、歯磨きが不十分で歯垢が溜まっていると、大人と同じように歯肉炎を起こして歯茎が赤く腫れることがあります。子供の仕上げ磨きは、歯だけでなく歯と歯茎の境目を優しくケアしてあげることが大切です。普段からお子さんの口の中をよく観察し、基本的な歯茎の色を把握しておきましょう。そして、明らかに普段と違う色の変化や、子供が痛みを訴える、機嫌が悪いといった様子が見られたら、自己判断せずに専門家に相談することが、子供の健やかな口の成長を守るために最も重要なことです。
子供の歯茎の色で気をつけるべきこと