一度、歯茎がぶよぶよに腫れる辛さを経験すると、二度とあのような不快な思いはしたくないと誰もが思うはずです。歯周病などの治療によって健康な歯茎を取り戻した後は、その状態をいかに維持していくか、つまり「予防」が何よりも重要になります。歯茎の健康を守り、ぶよぶよとした腫れの再発を防ぐためには、日々の生活習慣を見直すことが不可欠です。予防の基本であり、最も大切なのが、毎日の「正しいセルフケア」です。歯茎の腫れの原因となる歯垢を、いかに口の中から徹底的に除去できるかが鍵となります。まず、歯ブラシの選び方と使い方を見直しましょう。ヘッドが小さく、毛先が細い歯ブラシを選び、歯と歯茎の境目に45度の角度で優しく当てて、小刻みに動かします。力を入れすぎると歯茎を傷つけてしまうので、鉛筆を持つくらいの軽い力で磨くのがコツです。そして、歯ブラシだけでは絶対に届かない場所があります。それが、歯と歯の間です。この部分の歯垢除去には、「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」の使用が必須です。全ての歯の間にフロスを通す、あるいは歯間の広さに合った歯間ブラシを使う習慣を、毎日の歯磨きにプラスしてください。最初は面倒に感じるかもしれませんが、これを続けることで、歯周病の再発リスクを劇的に下げることができます。食生活も歯茎の健康に影響します。粘膜の抵抗力を高めるビタミンCや、歯茎の組織を作るタンパク質など、バランスの取れた食事を心がけましょう。よく噛むことは、唾液の分泌を促し、口の中を洗い流す自浄作用を高める効果もあります。また、喫煙は歯茎の血行を悪化させ、歯周病のリスクを著しく高める最大の危険因子です。禁煙は、歯茎の健康を守る上で非常に大きな一歩となります。そして、どんなに完璧なセルフケアを続けていても、自分では気づかないうちに汚れが溜まってしまうことはあります。そのため、定期的に歯科医院でプロによるチェックとクリーニングを受ける「メインテナンス」が極めて重要です。3ヶ月から半年に一度の定期検診が、ぶよぶよ歯茎の再発を防ぎ、あなたの口の健康を生涯にわたって守るための最善の方法なのです。