あれは忘れもしない、一週間前の月曜日の朝でした。歯を磨いていると、下の前歯の歯茎に、今まで感じたことのないピリッとした小さな痛みを感じました。鏡でよく見てみると、米粒の半分ほどの大きさの、白い膜が張ったようなものができています。最初は気にしていませんでしたが、その日の昼食で温かいスープを口にした瞬間、激痛が走りました。それからというもの、私の静かな戦いが始まったのです。日に日にその白い領域は広がり、痛みも増していきました。食事は恐怖の時間と化し、熱いもの、しょっぱいもの、酸っぱいものは全て避けるようになりました。大好きだったカレーライスやラーメンは、もはや拷問器具です。結局、数日間はおかゆやヨーグルト、ゼリーといった、噛まずに済むものばかりを食べていました。栄養が偏っている自覚はありましたが、痛みには勝てません。一番つらかったのは、人と話すことです。口を動かすたびに患部が刺激され、痛みが走るため、自然と口数が少なくなりました。同僚との雑談も上の空で、相槌を打つのが精一杯。きっと周りからは、何か怒っているのではないか、機嫌が悪いのではないかと思われていたかもしれません。夜、ベッドに入っても痛みでなかなか寝付けず、スマートフォンの光を頼りに、ひたすら歯茎の口内炎について調べました。原因はストレスやビタミン不足、免疫力の低下など、思い当たる節しかありません。期末の仕事が立て込んでおり、連日睡眠不足だったのです。このままではいけないと決意し、私は生活改善に取り組み始めました。まず、ビタミン剤を買い、食事も意識して野菜や豚肉を摂るようにしました。そして、何よりも仕事を早めに切り上げて、睡眠時間を確保することを最優先にしたのです。ゆっくりとですが、痛みは和らいでいきました。一週間後、あれほど私を苦しめた口内炎は、まるで幻だったかのように跡形もなく消えていました。この経験を通して、私は自分の体を労わることの大切さを痛感しました。小さな口内炎は、体からの悲鳴だったのです。
私の歯茎を襲った口内炎との静かな戦い