現代社会と切っても切れない関係にある「ストレス」。重要なプレゼンの前や、人間関係の悩みがあると、決まって胃がキリキリと痛む。そんな経験を持つ方は少なくないでしょう。ストレスが胃に不調をきたすことは、科学的にも証明されており、このような「ストレス性の胃痛」に悩んでいる場合、どの診療科に相談すればよいのでしょうか。選択肢は主に三つあります。まず、第一の選択肢は、これまで述べてきた通り「消化器内科」または「胃腸内科」です。ストレスは胃痛の大きな引き金ですが、その痛みの裏に、胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎といった、器質的な(目に見える)病気が隠れている可能性も十分にあります。まずは消化器の専門医に診てもらい、胃カメラなどの検査を通じて、「本当にストレスだけが原因なのか」「胃の粘膜に異常はないか」を、きちんと調べてもらうことが非常に重要です。もし、胃炎や潰瘍が見つかれば、それに対する適切な薬物治療を行ってくれます。また、特に異常が見つからなかった場合でも、胃酸の分泌を抑える薬や、胃の運動を整える薬を処方してもらうことで、症状は大きく改善します。次に、検査で特に異常が見つからず、明らかに精神的なストレスが痛みの原因であると診断された場合に、次の選択肢として考えられるのが「心療内科」です。心療内科は、ストレスなどの心理的な要因が、体に様々な症状(身体症状)として現れる「心身症」を専門とする診療科です。胃痛も、代表的な心身症の一つです。心療内科では、胃薬の処方に加えて、カウンセリングを通じてストレスの原因を探ったり、ストレスへの対処法を一緒に考えたりします。また、不安や緊張を和らげるための抗不安薬や、気分の落ち込みを改善する抗うつ薬などが、胃の症状を改善するために処方されることもあります。そして、三つ目の選択肢が「一般内科」です。かかりつけの内科医がいる場合、まずはそこで相談するのも良いでしょう。体と心の両面からあなたの状態を総合的に判断し、必要に応じて消化器内科や心療内科といった、より専門的な診療科へ紹介してくれます。ストレスによる胃痛は、あなたの心が発しているSOSサインです。一人で抱え込まず、適切な専門家を頼ることが、心と体の両方を健やかに保つための第一歩です。
ストレスによる胃痛、相談すべきは何科?